関西大学 3研究所 研究者インタビュー

山名 美加 YAMANA Mika

経済・政治研究所
サブサハラ政策研究班

グローバルマーケットにおける
「最後のフロンティア」、アフリカ。
可能性あふれる大陸へ、
積極的な日本からの投資を呼び込み、
「持続可能な発展」を目指すために。

Researcher Interview Researcher Interview
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01経済・政治研究所「サブサハラ政策研究班」
立ち上げの経緯について教えてください。

10年間のアフリカからの留学生受け入れを経て
同地域の政治、経済、法制の課題解決を探る研究班が発足

私自身は、現在、大学では、日本やアメリカの知的財産法について講義をしていますが、学生時代から特にインドにおける知的財産法制のあり方にも関心を持ち、その分野でも研究を行ってきました。2015年に関西大学大学院法学研究科が独立行政法人国際協力機構(JICA)の「ABEイニシアティブ(アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ)」受入れ校に認定されて以降は、アフリカ諸国からの留学生を受け入れるようになりましたので、アフリカが抱える経済や政治、法の運用等における課題にも向き合うこととなりました。また、彼らの多くが知的財産法分野の研究を志望して入学してきましたので、必然と、「アフリカにおける知的財産制度の意味」について再考する日々が続きました。

そして、2023年度、アフリカでも発展が遅れているとされるサハラ砂漠以南(サブサハラと呼ばれる地域)のうち留学生の出身国である、エチオピア・コンゴ民主共和国・モザンビーク・ブルンジの4カ国を選定、本学から巣立った元留学生などの協力を得て、法学研究科で留学生の指導に関わってきた4名の研究者とともにサブサハラ政策研究班を立ち上げました。

02研究班で取り組んでいる課題やテーマは何ですか?
班としての活動や成果などについてもお聞かせください。

多角的な視点からサブサハラの課題に取り組みサブサハラの「持続可能な発展」に必要な政策を模索

研究班のテーマタイトルは、「日本のサブサハラ・アフリカ政策をめぐる総合的研究—ODA(政府開発援助)と民間投資の実態分析を通して—」。日本政府主導で実施されてきた国際会議『アフリカ開発会議(TICAD)』の2013年の第5回会議(TICADV)を契機に転換する日本の対アフリカ政策を、政府主導のODA(政府間開発援助)と民間投資の実態を踏まえて学際的にふり返り、新たな指針を示したい。そのような目標を持って、国際法、国際政治学、国際政治経済論、国際経営学、知的財産法等の多角的視点からサブサハラ政策研究に取り組んでいます。

「世界最貧国」と称されることが多いブルンジを除く3カ国は、コロナ禍以前年平均6%以上の高い経済成長率を誇った国々。ただし、それらの国々にあっても依然として貧困問題が影を落とし、安定した成長モデルを描けていません。そんな中、私の専門分野との関わりで、私が光明を見出しているのが農業分野での知的財産権の活用です。コーヒー豆などの農産物に権利を付加することで、ブランド化させ、持続可能な産業発展の一端に繋げることができないだろうか…。そのような思いで、研究を続けているところです。幸いにも、2025年8月横浜で開催されたTICAD9のJICAセッションで、その一部は報告させていただく機会も得ました。

(左)ブルンジコーヒー (右)サブサハラ政策研究班 
『日本のサブサハラ・アフリカ政策をめぐる総合的研究(I)』
関西大学経済・政治研究所研究双書 第187冊(2026年3月)

03研究所の活動についてどんな目標をお持ちですか?
研究班あるいは、研究員としての意気込みをお聞かせください。

日本を巣立った優秀なアフリカの人材と連携し日本企業がアフリカの真の「ビジネス・パートナー」となって描く「持続可能な発展」を

2013年、横浜で開催されたTICAD Vにおいて当時の安倍首相は、アフリカはもはや「援助の対象」ではなく「ビジネスパートナー」であると宣言し、官民上げての投資の必要性を説きました。それから13年。しかしながら、日本からアフリカへの投資熱はまだ高いとは言い難いのが現状です。

それは、なぜなのか。研究班での活動を通じて、いくつかの課題も明らかになっています。日本で学んだ優秀な人材を活用しきれていないことも課題のひとつ。本学の留学生の中には、母国に戻って政府の要職に就く者も現れています。そうした母国の政策中枢を担う優秀な人材とともに、これからも日本とアフリカ、両者の「持続可能な発展」に貢献できる関係の構築に向けて、研究者の立場からではありますが、政府や企業などにも働きかけていきたいと考えています。

PROFILE

山名 美加教授
Professor YAMANA Mika

関西大学法学部教授。専門は知的財産法。インドやアフリカなどの新興国における知的財産法制が産業発展に与える影響等を研究。

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