本書は、心理学・教育学・小児看護学・養護教育学といった学際的な視点に加え、実践的な観点から「子ども・子育て支援」を学ぶことを目的としています。子育ては親だけの営みではなく、家族・親族・地域・制度など、多層的なつながりの中で支えられるものです。本書では、そうした多様な関係性を意識しながら、エピソードと理論的な解説を組み合わせることで理解を深める構成を採用しました。
特にエピソード部分では、日常の子どもや子育てに関する「あるある場面」を取り上げ、子どもの発達や成長の中での安全、教育や学校生活への適応、その支援のあり方を解説します。また、子育て中の保護者の心理や、子育てを取りまく社会制度、行政・民間の支援についても紹介しています。子ども・子育てを「個」から「社会」まで幅広い視点から読み解ける一冊です。
さらに、近年の少子高齢化や「こども家庭庁」の設置といった社会的背景をふまえ、大学での授業(例:「子育て支援論」)の教科書や副読本としての利用も想定しています。特に、将来親となる可能性の高い大学生や、子育て支援に携わる職業を志す方々にとって、身近で理解しやすいテキストとなるでしょう。
「子育て」は親だけの問題ではなく、社会全体で取り組むべき課題です。本書では、学生だけでなく、現在子育てをしている方々、これから子育てを始める方々、そして子育てを見守る立場の方々にも親しみやすいよう、日常的なエピソードを切り口に学べるよう工夫しました。
基本的には見開き2ページで1つのトピックを構成し、左ページに「子育てあるあるエピソード」、右ページに専門的な解説を配置しています。エピソードの中には、著者らが実際に体験した事例も含まれており、リアリティをもって学びを深めることができます。
本書を通して、子育てや子どもの育ちを支える職業や地域活動への関心が高まり、学問分野を超えて『子ども・子育て支援』への理解が広がることを願っています。